河内長野市は、爪楊枝の取扱量で日本一と言われており、業界では日本国内のシェア95%を占めていた地場産業です。

当社は、1960年の創業以来、河内長野市で爪楊枝の製造販売を営んでいます。一般的に使われる白樺楊枝も操業当時から製造しておりますが、中でも和菓子を食べる際に使用される黒文字楊枝の製造に強みを持っておりました。当時、河内長野市では爪楊枝業者が仲介業者も含め大小合わせて50件近くもあり、農業の副業として黒文字楊枝の内職が広く普及しておりました。しかし手作業での製造でしたので、効率よく大量生産できないかと先代で職人であった場工耕司(バクコウジ)が昭和40年に日本で始めて黒文字楊枝の半自動化製造機械の開発に成功しました。

 

そのうち河内長野市で取れる黒文字の原木が減少し、市内の業者は材料を求めて府外へ行くようになりました。弊社もその機械を原材料が取れる地域へ設置し、原木採取、半製品の製造を行い各地で製造していました。しかしながら、黒文字の過剰な伐採から国産黒文字が不足したことや、当時、機械の特許を取得しなかったので技術が流出し、他業者が安価な人件費を求め海外で生産しはじめました。弊社も国産ではとても採算が合わないので同業者と同じように平成元年頃から海外産の輸入を始めました。こうして国産から徐々に海外産へとシフトしていった結果、現在では国産の黒文字原木を使用して、国内で加工された黒文字楊枝(9㎝の黒文字菓子楊枝)は市場では存在しなくなりました。同様に、9cm以上の黒文字楊枝も市場に存在しなくなりました。形状は違いますが、千葉県の伝統工芸で雨城楊枝というものは存在します。また、一部個人的に製作されている方は存在しています。

 

しかし先代の場工耕司は亡くなる直前まで黒文字のお箸だけは国産にこだわり手作業で製造していました。そして近年は当社の既存顧客から、30年余り市場になかった国産黒文字原木を使用し国内加工した純国産黒文字楊枝に対する要望が強くなっていました。

先代が国産復活を願い亡くなり、その思いも知っているので、日本の伝統であり地場産業であった国産黒文字楊枝をなんとか復活させるべく平成26年から40年前に開発した機械を元に機械開発を行いました。同時に原木の流通は30年あまりなかったので、仕入れルートは山主を探す所から始めました。岐阜・兵庫・京北・和歌山・奈良・高知・愛媛・島根等、様々な山を訪ね歩き、同時に伐採する人も探しました。色々な地域から少しずつ集める方法で原木を確保し、製造体制を整えました。現在は主に高知県と奈良県から材料を集めています。

実際私も自ら山に入り伐採も行っています。

黒文字楊枝は和菓子でのおもてなしの席や、茶道には欠かせない伝統ある楊枝なのに流通しているもので日本産がありません。現在百貨店や小売店で販売し流通している商品は海外産ばかりです。また、色々な人に話を聞いても、黒文字は和菓子につけるものだから国産と思い込んでいる人が多いのが現状です。

 

何よりのこだわりは、伐採、製造、包装を一貫して国内の自社工場で行っている正真正銘のジャパンメイドと言う事です。実際に山まで出向きどんな材料があるかどんな人が取ってくれるか全て確認しています。また、海外産は輸入の際の検疫の関係で薬品を使用しますし、見栄えをよくするために漂白剤を使用したりしますが、弊社で製造している純国産黒文字楊枝は一切薬品を使用していません。

 

また、一般的に使用される「こけし楊枝」の国産を製造している所は、今は河内長野市内で当社だけとなりました。(全国的に見ても2社しかありません)

爪楊枝は河内長野市の地場産業でありながら、黒文字楊枝も爪楊枝も輸入に頼っているのが現状です。今回の商品を作った事で胸を張って地場産業だと言える商品ができたと思います。まだまだこれからですが、4代目として、また、河内長野市の地場産業を担う者として精進してまいります。

4代目 専務取締役 末延秋恵